そろそろ、歓送迎会シーズン!
懲りない方、お酒のほうはどうですか?
飲んだら乗るなじゃないけれど、お酒に飲まれないでね。
「酒が酒を飲む」何てこともいうしね。
「酒は百薬の長」っていうくらいだから、
「薬辞苑」でも取り上げないとねということでアルコールについてです。
お酒ってナンだ
アルコールの効能・効果
適量の目安
アルコールの体内動態(ADME)
アルコールの作用機序
アルコールの効果持続時間についてアルコールの単位数について
アルコールの血中濃度と酔っ払いの関係
アルコールによる悪酔いの作用機序
悪酔いの違いについて
アルコールの禁忌
妊婦さんへの影響
酒=アルコール分を含み、飲むと酔う飲料の総称です。
酒税法によるとアルコール1%以上を有する飲料となります。
アルコールの効用は「適量飲酒は長生きをもたらす」。昔から「酒は百薬の長」と言われます。これを医学的に裏付けるデータがあります。(薬のいいこと悪いこと)また、適度な飲酒は、とても心地よい効果が得られます。さらに場合によっては、良好な人間関係を築くこともできますなど・・・というのもありますが。。。逆に飲み過ぎると身体に悪影響を及ばしたり、人間関係を壊したり気をつけましょう。また、お薬との飲みあわせ(ウナギと梅干しも参照)もあるので、注意を要します。
一口に「適量」といっても、その量は人によってさまざまです。アルコールの許容量は性別や年齢、体質(日本人は「お酒に弱い体質」の人が44%も存在することに留意すべきです)、その時の健康状態といったさまざまな要素が関係するからです。また、アルコール依存症や薬物の乱用経歴のある人など「適量」が存在しない場合もあります。「適量」はこのような要素を十分認識して考える必要があります。自分の適量を知るというのが一番重要です!。
日本では、1日の適量はビールなら大びん1〜2本(ウイスキーダブルで1〜2杯、日本酒では1〜2合)と言われています。但しこれは、男性で「お酒に強い」タイプの場合です。女性の適量は男性の約半分と言われていますが、これは体格差の他、女性ホルモンの影響(女性ホルモンがアルコール分解作用を抑制する)によるものと考えられています。
飲んだアルコールはいったいどうなるのでしょうか?
Absorption(吸収)
口から入ったアルコールのおよそ20%が胃から吸収されます。残りの約80%は小腸から吸収されます。
Distribution(分布)
吸収された後は、血流にのって全身をまわります。
Metabolism(代謝)
体内に入ったアルコールの大部分は肝臓で代謝されます。アルコールは肝臓のアルコール脱水素酵素を経て酢酸に分解されます。この分解の途中代謝産物にアセトアルデヒドがあり、これが二日酔いの原因となったりします。
これをちょっと詳しくいうと肝臓の細胞の滑面小胞体というところで代謝を受けます。
Elimination(排泄)
アルコールから代謝された酢酸は全身をまわるうちに筋肉や脂肪組織で水と二酸化炭素に分解されて身体の外に出ます。アルコールのまま排泄されるのは、全体のわずか2-10%です。尿や汗・呼気から排泄されます。
アルコールって飲むとどうして気分よくなっちゃうのかな?一見、お酒って興奮薬のように思うかもしれませんが、実は持続的な中枢抑制薬なんですよ。一般にいう鎮静効果を示す薬剤と同じように脳の抑制系の制御機構を抑制します。結果的に抑制系がはずれて興奮作用に見えるだけなのです。
吸収されたアルコールが血流にのって脳に達し、脳の神経細胞に作用することによって活動に必要なエネルギー源を不足させ、脳の働きを抑制させるといわれています。
グッドマンギルマンの薬理学書によると、神経の膜脂質にとけ込み神経膜に埋め込まれているイオンチャンネルや他のタンパク質の機能を乱すと考えられています。さらには、神経膜脂質のマトリクスの秩序構造を局所的に乱す作用があると考えられています。また、GABAといわれる薬物受容体チャンネルを介したシナプスの抑制を増強し、チャンネルからの塩素イオンの流入を増強させる性質をもっています。
体重60kgのヒトが30分以内に1単位に相当するアルコールを飲んだ場合、約3時間は体内に留まるとされています。体質、お酒に弱い方、女性などもっと長い時間体内に留まることもあります。
アルコール1単位は摂取量の基準として以下の量に相当します。
ビール大びん1本633ml (濃度5%)
日本酒1合180ml (濃度15%)
ウィスキー(ダブル)60ml (濃度43%)
ブランデー(ダブル)60ml (濃度43%)
ウィスキー(ダブル)60ml (濃度43%)
焼酎0.6合110ml (濃度25% )
薬には目的とする作用と目的としない副作用があるように、皆さんのアルコールに対する目的とする作用と目的としない副作用はなんですか?
アルコールの血中濃度と酔っぱらいの状態は相関します。
血中濃度により6段階に分類されます。(右表参照)
1. 爽快期
0.02-0.04
2. ほろ酔い期
0.05-0.1
3. 酩酊初期
0.11-0.15
4. 酩酊期
0.16-0.3
5. 泥酔期
0.31-0.4
6. 昏睡期
0.41-0.5
1.爽快期〜3.酩酊初期
脳における網様体という部位に作用し、理性をつかさどる大脳皮質の活動が低下し、抑えられていた大脳辺縁系(本能や感情をつかさどる)の活動が活発になります。
4.酩酊期
小脳までアルコールの作用がおよぶと、運動失調(千鳥足)状態になります。
5.泥酔期
海馬までアルコールの作用がおよび、そのときの記憶が思い出せなくなったりします。いわゆるブラックアウト!!
6.昏睡期
アルコールの作用がどんどん中枢に進み、呼吸中枢(延髄)におよぶと呼吸のできない危険な状態に陥り、死にいたることもあります。死亡患者の平均的な血中濃度は400mg/dl!!血中濃度が150mg/dlになると、50%以上の人は著しい中毒症状が出現します。
アルコールが肝臓でアルコール脱水素酵素(ADH)によってアセトアルデヒドに分解されます。このアセトアルデヒドは毒性が強く、体内に残ると頭痛・吐き気・動悸などの症状がでます。このアセトアルデヒドこそが二日酔いや悪酔いの原因物質といわれています。
生まれつきお酒に弱いヒト強いヒトがいますよね。これは、二日酔いや悪酔いの原因物質といわれるアセトアルデヒドを分解するアセトアルデヒド還元酵素(ALDH)の体質によります。つまり遺伝的要因ということです。
アセトアルデヒド還元酵素(ALDH)には1型・2型があります。日本人の場合、約半数の46%がALDH2型の活性が低いため少量のお酒を飲んでもアセトアルデヒドが体内に蓄積され二日酔いや悪酔いしてしまうわけです。
この体質は遺伝子によるところが大きいのです。
アルコールを飲んじゃいけない人リストアップしてみました。
肝臓の病気のある人
消化管潰瘍のある人
アルコール性のミオパシー(骨格筋・心筋)
アルコール中毒の既往のある人=これ絶対ダメ。
妊娠している方
妊娠中はアルコールは禁忌(禁物ということ)です!飲んじゃだめだめ。アルコールは容易に胎盤を通過してしまいます。お腹の赤ちゃんも立派な「未成年者」!
妊娠中に摂取したアルコールは、胎盤を通って直接胎児に運ばれます。短時間で胎児の血中アルコール濃度は、おかあさんの血中と変わらない濃度となります!!。
動物実験で、妊娠中にアルコールを与えると、妊娠の維持ができなくなるものが多く、生存胎仔数の減少、胎仔重量の低下、胎仔の脳の発育遅延、神経障害などが観察されています。
ヒトにおいては、場合によっては「FAS」(Fetal Alcohol Syndrome 胎児性アルコール症候群)を引き起こすこともあります。
FASの小児とは知能障害を主とする中枢神経系の機能障害(IQの低下・小頭症)、発育障害、顔面中央の形成不全を特徴とする特有な顔貌(顔裂狭小・上唇形成不全・短鼻)、さまざまな大奇形・小奇形の頻度の増加などが特徴です。FASの小児は免疫系が著しく不全でありさまざまな感染症に罹りやすくなってしまいます。この理由はアルコールの直接作用の一つで、妊娠初期の胚の細胞増殖を抑制したことによるかもしれません。
アルコール依存症の母親から生まれる3人に1人は「FAS」(Fetal Alcohol Syndrome 胎児性アルコール症候群)とか。こわい。
FAS児の発生とまではいかないまでも飲酒の習慣のある母親からは低体重児の出生率が高く、妊娠中や出生時の障害の発生も高い傾向にあるとされていますまた、死産や流産の確率が高くなります。したがって、妊娠したら禁酒するのが原則!ですよ。
妊娠中だけでなく、母乳を通じて赤ちゃんにアルコールの害が及ぶ危険があります。授乳期間中も、お酒を避けるべきです。